子育てあんずの本棚

子育て中に不安になったとき読んだ本

子育てにおいて信頼できる専門家の探し方

春休みを挟んで、久しぶりの更新になってしまいました。
新しい生活が始まる春のちょっと不安な気持ち、子育てが始まったときに似ています。
そんな時に、電子書籍で読んだこの本を紹介します。

 

「各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと」

著者
宋 美玄
姜 昌勲
名取 宏
森戸 やすみ
堀 成美
Dr.Koala
猪熊 弘子
成田 崇信
畝山 智香子
松本 俊彦
内田 良
原田 実
菊池 誠

編集者:星海社新書

発売日:2019/3/27

ISBN-13:978-4065151617

 

紹介するために買いなおしたのですが、こんな表紙だっけと思ったら新書になったんですね。

著者ずらり。
当時のTwitter(現X)でこの本の事を知り、著者をのアカウントを端からフォローしました。それほどに、子育てに関して自信がなく、周囲から言われたりされたりしたことで揺らぎまくっていたんだなと振り返ります。

この本は、子育てを取り巻くあらゆることについて、信頼できる専門家が誰なのか分からない人に読んでほしいです。

新書ではないハードブックの発行が2016年なのですが、8年たった今も著者の方々がブレずに発信し続けていることに感動します。個人的には精神科医の松本俊彦先生が「誕生学」について言及されているところで、最後の一文は本当にその通りだと涙が出ました。

 

内容は育児・医学・食・教育の4章と番外編から成り、よくある問いに専門家が見解を述べる形式です。拾い読みオッケーです。
母乳じゃないとダメ?
ワクチンは毒だとききました。
食品添加物は危険なもの?
2分の1成人式は素晴らしい?
などなど、耳障りのよさで「そうかな~」と思ってしまう事に対して、実はこういうことでそうではないんです、こういう側面があるんですと、何も知らずに流されるのを止めてくれます。

 

子どもを守るためでもあるけれども、これはきっと親である自分も守ってくれる本です。この本の著者13人を辿って、信頼できる専門家を広げていくと、自分と子どもを守る情報網は強固なものになると思います。

授乳中の食生活に関する私見

今日は本の紹介ではなく、授乳(とくに母乳)について、自身の体験や本で学んだことをもとに私見を述べたいと思います。

授乳中に食べてはいけないものなんてあるの?

普段の食事はバランスよくなんでも食べる

結論から言って授乳中に食べてはいけないものは無いと思っています。
何を食べても母乳の質は一定に作られるように出来ているようです。
逆に粗食にしすぎたり、野菜ばかり食べたり、極端なことをしない方がよいです。

 

おっぱいが詰まるのは授乳間隔があくから

よく、おっぱいが詰まると聞きますし、体験もしましたが、原因は授乳の間隔が開いてしまったからだと思われます。出すものを出してない状態が長時間続いたから。ただそれだけです。

お祝いの席で出た赤飯やお餅やケーキが原因ではありません。お祝いの席ですぐに授乳できない状態だったり、環境が変わったせいで赤ちゃんがよく寝ていたり、母乳を出すいつものペースがくずれただけだと思われます。

ただ、体感としてはお米をたくさん食べるとおっぱいが張る感覚はありました。食べたら生産される。当たり前ですよね。詰まるのは出さないから。お米が悪いんじゃないんです。なので、生産されたものは赤ちゃんにたくさん吸ってもらいました。タイミングが合わないときは流しに向けて手で搾ってすててました。

産後の入院食覚えていますか?
栄養のエキスパートである管理栄養士が授乳婦用に考えたメニューです。
お盆にペロッとのっていた栄養価の紙に、米飯がほかの患者さんよりも多く設定されているのを記憶しています。授乳婦は米食えってことです。

 

母乳がおいしくなるとかまずくなるとかあるの?

お母さんが何を食べても母乳の質は一定に保たれることから、味はそう変わらないのではと想像がつきますよね。しいて言えば、授乳の出始めの方は水分が多く、後半は脂肪分が多いようです。それだけです。

なので赤ちゃんが授乳を嫌がる原因は、味の可能性はとても低く、授乳の姿勢や赤ちゃんの満腹具合などその他の要因が考えられるとのことです。

私も長女に授乳を拒まれた一人ですが、抱っこが嫌いで添い乳(横になってする授乳姿勢)が好きだったようでどこに行っても大変でした。母乳の分泌が軌道に乗ったときに授乳前から噴射して長女がむせることもあり、それも嫌だったのかなと振り返ります。

と色々考えましたが、味は関係ないです。

 

最後に

今現在のネットの情報ってどうなってるんだろうと検索してみると、前よりはましになりましたが未だに「ファーストフードは控えて」とか「血液がドロドロだと母乳もドロドロになる」などと書かれていてガッカリしました。

おそらく伝えたいことは「健康的な食生活をすること」なのでしょうが、でもこれって全人類に共通することですよね。授乳婦用に張り切って記事にする必要がそもそもないと思っています。トンデモな記事も私の記事も将来的にはなくなってほしいと思います。
だって健康的な食生活を送ることなんて誰もが知っていることだから。

 

良い情報は信頼できる専門家から得ることをおすすめします

私が以前紹介した 「産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK」と言う本では、普段の食事はもちろん

・アルコールやカフェインは少量でタイミングを見計らって

・薬は飲めるものもある(もちろん医師・薬剤師に相談すること)

など気になる情報がエビデンスとともに解説されています。

授乳中に悩んだり迷ったりしたら読んでみてくださいね。

www.anzunote.net

初めて赤ちゃんの育児をする人におすすめの本です

今回は親戚が出産したときにプレゼントした本です。
赤ちゃんの育児を初めてされる方にはぴったりだと思います。

「赤ちゃんのしぐさ」

 

著者:森戸やすみ

イラスト:栗生ゑゐこ

編集者:洋泉社

出版日:2016/2/17

ISBN:978-4800308405

 

月齢ごとに乳幼児期の「あるある!こういうしぐさ!!」を集めてあります。
栗生さんの可愛くて的確な赤ちゃんのイラストが大きく描かれていますので、産後「文字を読むのがちょっと疲れちゃって……」となっているお母さんにもぴったりです。

そして、あるあるだけが収載されているだけでなく、小児科医の森戸やすみ先生が各しぐさについて医学的根拠をもとに解説をされています。
なので、月齢ごとに赤ちゃんがどんな発達をするかが大きなイラストとともに理解できます。

初めて育児をするときって、発達ってものすごい気になりますよね。
ガチガチの育児書だとプレッシャーに感じてしまうこともあるのですが、この本はまるで、赤ちゃんを持つお母さんたちと「あるある!かわいいよね!!」などと会話しているような気分になれる気楽な本です。
森戸先生の解説もやさしいので自然と乳幼児期の発達について学ぶことが出来ます。
肩の力を抜いて、絵本を広げるようなつもりで読んでみてくださいね。

授乳に携わるすべての人に読んでほしい

確かではない情報に思い切り振り回されてしまった私を救い出した、医師おふたりの著書です。

 

産婦人科医ママと小児科医ママの らくちん授乳BOOK」

 

著者:宋美玄 森戸やすみ

イラスト:栗生ゑゐこ

編集者:メタモル出版

ASIN:B01MQ2QIRD

発行日:2016/10/27

 

産婦人科医ママ宋美玄先生と、小児科医ママの森戸やすみ先生の著書です。

全5章からなり、各章の中に5~10弱ほどのQ&Aがありますので、気になる質問をサッと拾い読みすることも可能です。

 

本書のスタンスとしては、タイトルで「授乳」と明記されている通り、赤ちゃんに与える栄養は母乳・ミルクどちらもそれぞれメリットがあることを医学的根拠をもとに示しています。

それでも母乳の記述がやや多くなりますので、母乳育児に悩むお母さんに特におすすめです。

授乳の悩みは多岐にわたります。飲めてるか、足りてるか、この姿勢でいいのか、これ食べてもいいのか、薬飲んでもいいのか……退院後に分からないことがどんどん出てきてしまい、それでも次の授乳は昼夜問わずひっきりなしに訪れます。

もちろん緊急的な事態には、かかりつけ医や薬剤師の指示に従うべきですが、授乳に関する知識をつけておくという意味でこの本は強い味方になります。

 

長女の授乳中のネットや口伝えの情報はひどいもので、カレーを食べると母乳が辛くなるだとか、脂っこいものは食べられないだとか、風邪をひいてもいかなる薬も飲んではいけないだとか、授乳中は赤ちゃんの顔を見つめ続けなければならないだとか、疲れ切った産後の母親を追い詰めるようなものが多かったです。

 

いまだに覚えているのですが、お二人の会話の中で

「カレーを食べて母乳が辛くなることはないです。インドのお母さんの母乳が辛いなんてことは無いですから。」

のような発言をSNSで読んで、母が作ってくれたカレーを拒んだ私は目が覚めました。

常識的に考えてそうじゃないか。しっかりしなきゃ、と。

 

情報におぼれていた私を救い出してくれた、宋先生と森戸先生には感謝してもしきれません。

授乳にかかわるすべての方に読んでいただきたいです。

 

さいごにひとこと

栗生ゑゐこさんのイラストが好きなんです。

Twitter時代にたまたま見つけ、なんて的確でかわいい赤ちゃんを描ける人だろうと感動しました。長女が赤ちゃんの時に「赤子しぐさ」という本を繰り返し読んでほんわかしていたのを思い出します。またどこかで紹介しますね。

こんな大人になりたい

ついこの間、読んだ本。

Chapter1からやさしくて、カフェで涙ぐんでしまいました。

 

「児童精神科の看護師が伝える 子どもの傷つきやすいこころの守りかた」

 

著者:精神科認定看護師 こど看

発行:株式会社KADOKAWA

ISBN:978-4-04-606536-0 C0037

 

10年間、児童精神科病棟で看護師として勤務されているこど看さんの、知識と経験とやさしい言葉が詰まった一冊。

Chapter5までの章立てで、各章の中に1~2ページ程の文章があり、タイトルがすべて目次に列挙されているので、気になるところを読むスタイルもできます。

この本を読むと、子どもが心を許せる人がまとう雰囲気みないなものがふわっと想像できて、少しずつ自分もそうなろう、そう心掛けたいと思えます。言葉が優しいので、まるで太陽に導かれるような気分になります。

 

ちなみに涙ぐんだ文章は

「この子を笑わせよう」という思いから発するユーモラスな言動は~略~「その子」だけに向けられる特別なものです。~略~ その子が大人になったときに、「そういえば自分を笑わせようとしてくれる大人がいたな」と自分の子ども時代を安心しながら思い出すことができるのではないでしょうか。

 

Chapter1「No.3 子どもの過去に笑顔をたくさん残す」P23より

序盤から、私の目指す大人像これだ、と思いました。

 

子どもを持って、親の気持ちや大変さが分かるようになったけど、どうして肝心の子どもの気持ちが分らなくなっちゃったんだろうと嘆いていたのですが、この本を読んで、子どもの時って自分の気持ちが分らなかったんだと思いました。

そう考えると、子どもにとっての大人の役割がふわっと立ち上がってきます。

決して、あなたの気持ちはこう!とか断定するのではなく、太陽のような気持ちで子どもの側にいる事ではないでしょうか。

この本にはそのポイントがたくさん、本当にたくさん書いてあります。

 

さいごにひとこと

私は親なので、親として我が子に接するときを意識して読んだのですが、こど看さんは看護師さんとしてこの本を書かれているので、子どもと接するすべての人が読むと良いなと思いました。

また、子どもと接する機会が無くても、自身が子ども時代にこころに残った大人を思い出すこともできるのではないでしょうか。自分の土台を思い起こすこころの旅になるかもしれません。

子育て本の顔をしたビジネス本?

一昨年の1月。長女が小学2年生に進学するにあたって、あれこれ不安になっていたのかもしれません。

 

「マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください」

著:中島 美鈴

イラスト:あらいぴろよ

 

ASIN:B09RF86PFQ

出版社:主婦の友社

発行日:2022/1/31

 

あらいぴろよさんのほのぼのした漫画と、公認心理士の中島美鈴さんによる分かりやすい解説とプラスαの文章で構成されています。

 

この本の好きなところは、何か問題が起こっているときに、その人の特性や性格のせいにせず、環境や行動に焦点をあてましょうと言っているところです。

 

例えば

やるべきことが時間までにできない

忘れ物をしてしまう

 

のはその人の特性や性格のせいではなく、それをする「しくみ」にあり、「しくみ」を考えるうえで「こうあるべき」という思い込みがないか見直しましょう。

と言っています。

 

ちなみに、子育ての本です。

自分の事だと思った。

部下の事だと思った。

上司の事だと思った。

となりませんか。

 

そうです。

本書は著者である中島さんが認知行動療法の考え方を土台に、具体例を散りばめながら、問題解決の方法と考え方を示しています。子育てを舞台としていますが、自己啓発本やビジネス本にも通じると私は感じました。

つまり、ただHow toがいくつも書いてあるだけでなく、元となる考え方も解説されているので「じゃあ我が子だったらこうしようかな」と応用が利きます。

我が子だったらの部分を「私だったら」「部下だったら」「上司だったら」「相手先だったら」

に変えてもよいです。

 

子育てのブランクがあって働くの大丈夫かしら?

と思っているお母さんにはぜひ読んでほしいです。

子どもという未熟で思い通りにならない相手を、日々マネジメントしているその経験は、きっと社会で必要とされる能力だと私は思います。

 

さいごにひとこと

実はこの本を読んだことを忘れていたのですが(こら)、我が家は子どもの動線を意識した模様替えをたくさん行いました。環境を整える記述が脳裏に焼き付いていたのかもしれません。

例えば子ども服。以前は小さくたたんで衣装ケースにいれて、居間から一番遠い子ども部屋にあったので、子どもの着替えがはかどりませんでした。思い切って服の数を減らし、ハンガーラックにすべて掛け、居間に配置しました。

ちなみにこの方法、本書ではまた違った方法が描かれています。

 

我が家だったらこの環境!を考えるの、子どもを叱るよりずっと楽しいですよ。

世間が期待するママでなくていい

二人目の娘が生まれて間もないころ、電子書籍で読んだこちらをおすすめします。

 

「ママだって、人間」 著:田房永子

ASIN:B00L50P766

 

漫画です。

著者ご本人が妊娠・出産・育児を通して体験したこと、感じたこと、考えたことが、素直に、丁寧に語られています。

 

この本を読むと「ママになるのだから」「ママなんだから」と植え付けられた概念のようなものから、解放されます。

こんなふうに感じても考えてもいいんだ、だって人間だもん。と気づけます。

 

私は出産を終えてから読んだのですが、妊娠中に読みたかったです。

出産の痛みも、赤ちゃんのお世話も、母親学級で見聞きできるのですが、漠然とした不安があるだけで、自分に降りかかるのを待つのみでした。

田房さんのすごいところは、その漠然とした不安(もやっとポイント)は何かをはっきり自覚し、分析して、気持ちを納得させていくことを、事が起こるごとに丁寧に行っていることです。

田房さんの考えに触れて、私は自分の子どものママではなく、世間が期待するママとして頑張らなきゃ、とがちがちに構えていたんだなと省みることができました。

 

そしてなんと言っても漫画がとても面白くて、笑って、笑って、笑って、最後は泣けてきて、大変だった自分のここ数年間を浄化していただきました。

 

なんとなく不安を抱えたプレママさんにはぜひ読んでほしいです。

 

 

ちょっとひとこと

ママの本ではありますが、実は社会勉強にもなります。

私自身気が付かずにがんじがらめにされていた「世間から期待されるママ」がどう出来上がったかも分かる気がします。

子育てしやすい世の中をつくるヒントになるのではないでしょうか。